故郷の重力に魂を縛られた者たち

「地球の重力」に縛られた魂、ではなく

ガンダムには「地球の重力に魂を縛られた人々」というフレーズがある。どちらかといえば、ネガティブな意味合いが強く、人間のエゴや執着を揶揄する文脈で語られる。

だが今回は、それとは少し違う話。「故郷の重力は意外と強い」という、少しほんわかした話である。

関西人、関東に立つ

自分は近畿圏の出身で、大学まで地元で過ごした。就職を機に東京の会社に入り、関東に引っ越した。

最初に住んだのは埼玉県川口市。西川口駅が最寄りで、今も昔もやや物騒な空気が漂っていた。結婚後は神奈川県川崎市、最寄りは溝の口駅。建売の戸建てを購入し、ようやく落ち着いた感がある。

そういえば新幹線の新横浜駅がすぐ近くだ。特に狙ったわけではない。お互いの職場に近かっただけだが、「新幹線で実家に帰りやすい」という点が、無意識下にあったのかもしれない?

文化ショックもあったが、悪くなかった

関西人アルアルの「東京に魂を売った」。就職して「故郷を捨てた」という感覚は、正直1ミリもない。むしろ関西人の生活圏を拡大させるため東方へ攻め込む、フロンティアの開拓民のような気分だった。

四半世紀前、私が目にした関東平野の惨状は凄まじかった。新宿・歌舞伎町には吐瀉物が点在し、池袋駅のコンコースにはでっかい人間のウンコが落ちていた。通行人は踏まない。避け慣れている様子が見てとれた。西川口では毎晩のように奇声が轟き、少しでも隙を見せるとベランダに鳩が巣を作った。

文化的で上品な関西で育った身には刺激が強すぎる環境だったが、その分、開拓しがいのある土地だったとも言える。

人はなぜ「帰省」するのか

たまに「なぜそこに住んでるの?」と聞かれる。だが、神奈川を選んだのに特別な意味はない。東京でも埼玉でも千葉でもよかった。

けれど結果的に、関西に帰りやすい場所に腰を落ち着けた。それが潜在意識、つまり魂の選択だとすれば、少しあたたかい気持ちになる。

他の人たちはどうなんだろう?

関東に住む東北出身者は、やっぱり東京駅に引かれるのだろうか。もしくは大宮。北海道や九州、四国の人なら、飛行機の便が多い羽田の近くを選ぶのかもしれない。成田が拠点になる海外勢、あるいは山梨なら中央線沿い。

不思議なもので、人は何かに「引かれる」。合理性だけでは説明のつかない選択の中に、ほんのりとした人間味がにじんでいる。

今年は「スターダストメモリー」しよう

物理学の世界では、重力は最も弱い力だとされている。電磁気力、強い力、弱い力に比べて圧倒的に小さい。

でも、自分を年に1回は関西に引っ張るこの力。小さいながら、ちゃんと働いているのだと思う。ほんのりと、魂の端っこを引くように。

今年は万博もある。久々に作戦を発動して、関西に帰ろうかと思っている。

「関西よ!私は帰ってきた!!」って叫びながら。

結局、やっぱり、根は関西人なのです。

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