桜の並木に貼られた「伐採のお知らせ」に公務員さんの苦労を思う

桜の並木に貼られた「伐採のお知らせ」

通勤経路に「二ヶ領用水」という小川が流れている。
両岸には桜の木が植えられていて、春になると一気に華やかになる場所だ。
毎年のように、仕事へ向かう足取りの重さをちょっとだけ和らげてくれる。そんな並木道。

ところが今朝、その桜の幹に一枚の張り紙が貼られているのを見つけた。

「健全度診断の結果、伐採を実施します」

張り紙のタイトルは「樹木の伐採について」。

内容を読んでみると、この桜の木は健全度診断の結果、倒木の恐れがあるため、令和7年7月より伐採作業を実施するという。
その後、順次抜根作業を行い、植樹もしていく予定らしい。

張り紙が貼られているのは1本だけではなかった。
どうやら複数の木に同じ通知が貼られており、まとまった範囲での対応になるようだ。

確かに、ちょっと前から気にはなっていた

思い返してみると、今年の春、この木だけ明らかに花の付きが悪かった。
咲かない枝も多く、樹皮もボソボソで、全体的に元気がないように見えていた。

素人目に見ても、これはかなり弱っているなと感じていたので、今回の判断は妥当なんじゃないかと思う。

それでも、やっぱり寂しい

季節の楽しみが減るというのは、やっぱりちょっと寂しいものだ。
でもこのまま放置すれば、いずれ倒木などのリスクも出てくるし、そうなると人にも迷惑がかかる。

きちんと診断して、安全面を優先した上で、植樹まで計画されているのなら、それはそれで丁寧な対応だと思う。

張り紙の言葉選びに感じた、役所の苦労

それにしても、この張り紙にはやけに丁寧な表現が並んでいた。

「健全度診断の結果」「倒木の恐れがあるため」「順次、伐根作業を実施し、植樹します」……と、すべてが過不足なく、角が立たないように慎重に書かれている。

おそらく、こういう伐採作業を行おうとすると、「木がかわいそう」と感情的に反対する人や、「判断が遅い」と怒る人、「もっと説明しろ」と求める人など、さまざまな“お気持ち”の対応が必要になるのだろう。

カスハラ一歩手前のクレーマー気質な方々。

公務系の現場は、本当に大変だと思う。
一見シンプルな案内にも、何重もの説明と配慮が込められているのが伝わってきた。

春の風景をまた見られる日を待ちながら

植樹されたばかりの若木は、すぐに花を咲かせるわけではないし、並木全体が満開になるにはしばらく時間がかかるだろう。
でも、5年後、10年後には、またこの道に桜のトンネルが戻ってくるかもしれない。

その頃も、仕事に行く足取りが重かったとしても、きっとこの風景が少しだけ背中を押してくれるだろう。
そんなふうに思いながら、今日はこの並木道を少しだけゆっくり歩いた。

補足

二ヶ領用水とは?

二ヶ領用水(にかりょうようすい)は、神奈川県川崎市を流れる人工の水路で、江戸時代初期に多摩川からの取水によって整備されました。もともとは農業用水として整備されましたが、現在では地域の景観や散歩道としても親しまれており、春には両岸に咲く桜並木が地元の名所となっています。

健全度診断とは?

健全度診断とは、街路樹や公園樹などの状態を調査し、腐朽や倒木のリスクを評価する作業です。外観の確認だけでなく、専用機器によって内部の空洞化や根の状態なども調べ、必要に応じて剪定・伐採などの判断材料とします。市区町村や公園管理者が安全対策として実施することが多いです。

抜根作業とは?

抜根作業(ばっこんさぎょう)は、伐採した木の根や切り株を地中から取り除く作業のことです。植え替えを行うための準備や、安全・衛生面の確保、景観の改善を目的に行われます。根が深い場合や舗装された場所では重機を使うこともあり、比較的時間と費用がかかる工程です。

カスハラとは?

カスハラとは「カスタマーハラスメント」の略で、利用者や顧客が職員や従業員に対して理不尽な要求や暴言を繰り返す迷惑行為のことを指します。近年は接客業や行政窓口などで深刻な問題となっており、対応マニュアルや法的な整備が進められつつあります。

クレーマーとは?

クレーマーとは、しつこく苦情や文句を言い続ける人を指す俗語です。正当な要望や意見と異なり、過度に攻撃的だったり、対応に過大な労力を要するケースが多く、時に職員の精神的負担や業務妨害にもつながるため、カスハラの一種として扱われることもあります。

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