「拘禁刑」の違和感がすごい。「懲役刑・禁固刑」はどこいった?

拘禁刑って知ってた?

朝のニュースで「拘禁刑(こうきんけい)」という言葉を耳にした。特に補足説明もなくしれっと。
……ん? 初めて聞いたような、聞いたことあるような?
ともかく違和感がすごい。

ミリバールからヘクトパスカルへ

この感じ、どこかで味わったことがあると思ったら……昔、天気予報の単位が「ミリバール」から「ヘクトパスカル」に変わったときだ。

意味は同じはずなのに、妙に仰々しくて、なんだか急に他人行儀になったような違和感。

今回の「拘禁刑」も、それに似た感覚だった。

家族にも聞いてみた。「拘禁刑って知ってる?」
「え、なにそれ? 初耳〜」と軽く返されてしまう。
うちのファミリーが情報に疎いだけなのか、世間的にもあまり話題になっていないのか。
どちらにせよ、120年ぶりの見直しらしい。なかなかの決断だ。

名前だけじゃなく、中身も変わった

最初は「名前が変わっただけ」かと思った。
懲役も禁固も、どっちにしても刑務所に入るんでしょ?と。
でも、掘ってみると、どうやら中身もけっこう変わっている。

「懲役刑」「禁錮刑」廃止 6月からは「拘禁刑」 刑務作業は必要と判断した場合のみ 24グループに分けた更生プログラムも | 福岡のニュース|RKB NEWS|RKB毎日放送 (1ページ)

6月1日に改正刑法が施行され、懲役刑と禁錮刑を廃止して、「拘禁刑」に一本化されます。1907年の刑法制定以来、初めてとなる刑罰の種類変更。これまでの刑罰とどう変わる…

従来の懲役刑では、刑務所での作業が義務だった。
禁固刑は作業義務はなく、希望すれば参加できるという違い。
とはいえ、高齢者や重い持病で働けない人はいるし、禁固の受刑者も多くが作業に参加していたらしく、制度としての区別が曖昧になっていたようだ。

新しい「拘禁刑」は、その2つを一本化したもの。
原則として、全員が改善や更生に資する「指導」や「作業」を受けることになっている。
いわば、「ただ収容する」から「再出発に向けたサポートの場」へ。
なんとなく、少年院の理念にも通じるところがあるように感じた。

柔軟性のある制度って大変だけどね

制度的には、“幼保一元化”のような発想にも見える。
使い分けが難しかったものをまとめて、実態に即した運用へ。

拘禁刑の場合は、社会復帰や再犯防止といった目的に力点を置く。

ここまで聞くと「いいことづくし」に思えるけれど、少し気がかりな点もある。

制度が柔軟になるということは、運用する側の裁量が広がるということでもある。
現場の判断に委ねられる場面が増えれば、そこには当然“ラクな方に流れる”誘惑もある。

たとえば、旧制度では「懲役なら必ず作業」とルールが明確だった。
でも、拘禁刑では「原則作業」という表現に変わる。
つまり、「例外」や「事情」によってやらせなくてもいい余地が出てくる。

仮に、「あの人は集団行動ができないから」とか「手がかかって大変だから」といった理由で、何もさせずに“閉じ込めておく”だけの対応が増えたらどうなるだろう。
制度の柔軟さを言い訳に、面倒な人は放置されてしまう――そんな運用がされてしまわないか、少し心配になる。

個別支援や指導には人手も時間もお金もかかる。
短期的には、確実に運営コストは増えるはず。
でも、もしそれで再犯率が下がり、将来的に警察や刑務所にかかる費用が減るのだとすれば――
社会としては“投資”のようなものなのかもしれない。

上手くいったらいいね

犯罪が減れば、被害者も減る。
それだけでも十分すぎるほど意味がある。

刑罰のあり方が、「懲らしめ」から「立て直し」へと少しずつ動いている。
もちろん簡単にはいかないし、現場の負担も大きいだろう。
けれど、制度の内側からでも、価値観のアップデートは起こせるのだとしたら。
この変更が、ほんの少しでも良い方向につながることを願いたい。

良い方に行くのか、それとも悪い方に転ぶのか。
はっきりするのは、おそらく20年、30年先のことになるのだろう。

ともかく、自分が犯罪に巻き込まれず、もちろん警察や刑務所のお世話にもならず、
ふつうに暮らしていけることを、ただ祈るのみだ。

補足

拘禁刑とは?

拘禁刑(こうきんけい)は、2025年6月に導入された新しい刑罰の種類です。これまでの「懲役刑」と「禁錮刑」を統合し、すべての受刑者に対して改善指導や作業などのプログラムを提供する仕組みに変わりました。目的は単なる処罰ではなく、社会復帰や再犯防止を重視することにあります。制度としては柔軟性が増しましたが、そのぶん現場の判断に委ねられる場面も多く、今後の運用が注目されています。

懲役刑とは?

懲役刑とは、受刑者に刑務作業(いわゆる「労働」)を義務づける刑罰です。日本では長く主要な刑罰として用いられてきました。作業内容は、木工や印刷などさまざまですが、刑務所内の規律維持や矯正の一環として重要視されてきました。2025年6月からは廃止され、拘禁刑に一本化されました。

禁錮刑とは?

禁錮刑(きんこけい)は、懲役刑と異なり、刑務作業が義務ではない刑罰です。ただし希望すれば作業に参加でき、実際には多くの受刑者が参加していたと言われています。懲役刑と比べて「軽い」とされる傾向がありましたが、実態としての違いが曖昧になっていたことから、今回の拘禁刑への一本化が行われました。

再犯率とは?

再犯率とは、刑罰を受けた人が出所後に再び犯罪を犯す割合を示す指標です。刑務所や少年院を出た後に再び収容されるケースなどがこれに該当します。再犯率が高いと、刑罰の効果や更生支援のあり方に疑問が生まれるため、制度の改善や支援策の充実が重要とされています。拘禁刑の導入も、再犯率の低下を目的とした施策のひとつです。

更生プログラムとは?

更生プログラムとは、受刑者の再犯防止や社会復帰を目指して実施される教育・指導・訓練のことです。読み書きや金銭管理、職業訓練、生活指導など、内容は多岐にわたります。拘禁刑では、従来よりも体系的かつ個別に対応する形で、最大24のグループに分けて実施される予定です。個々の特性に応じた支援が期待されます。

社会復帰とは?

社会復帰とは、刑罰を終えた人が再び社会の一員として自立した生活を送ることを指します。仕事に就いたり、人とのつながりを築いたりすることが含まれます。犯罪歴による偏見や孤立が、再犯のリスクを高めることもあるため、出所後の支援体制や周囲の理解も大切です。拘禁刑はこの「再出発」を後押しするための制度でもあります。

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