米の値上がりはなぜ?備蓄米の役割と“適正価格”をゆるく考える

備蓄米は万能薬なのか?“コメ高騰”の背景とゆるい考察

発言の余波と、ふと気になった「備蓄米」

「コメを買ったことがない。支援者がくださるので、売るほどある」

農相の攻撃「コメ、売るほどある」──庶民に効果はばつぐんだ!

お米の価格高騰が続く中、「コメを買ったことがない。売るほどある」と発言した農相に批判が集中。発言に至る経緯や文脈をあらためて確認しながら、言葉選びの難しさを。

先日そんな発言が飛び出して、なんとも言えない空気が広がった。私も、言葉の温度感って難しいなと思いながら、少し前に感想を書いた。怒る人の気持ちもわかるし、言い方さえ違えばこんなに燃えなかったんじゃないか、という気もしている。

ただ、それとは別に頭の片隅に残ったのが「備蓄米を出せばいいじゃん」という声。たしかに、そういう制度があるのは知っていたけど、正直詳しくは知らなかった。そこで今回は、自分の無知を補う意味も込めて、備蓄米についてゆるく調べてみた。結果として、単純に「出せばいい」って話でもないらしい、ということが少しずつ見えてきた感じです。

備蓄米って、そもそも何なのか?

備蓄米は、政府が毎年一定量の米を買い入れて、倉庫に保管しておく制度、というのが基本らしい。いざというとき、たとえば災害とか、大きな不作とか、何かしらの理由で米の供給が不安定になったときの“安全弁”的な役割。これが制度として整ったのは、平成5年の冷夏で米が足りなくなったことがきっかけだったらしい。なるほど……と思った。

保管している量は、常時だいたい100万トンくらい。日本の年間消費量の1割ほどとのことで、わりとしっかり確保されてる印象。あと、保管された米はずっとそのままではなく、5年たつと入れ替えが行われて、古いものは主食には使わず、飼料や加工用などに回される。これを「棚上備蓄方式」と呼ぶそうです。

こうして見てみると、備蓄米ってすごくまじめに管理されてる。単純に「余ってるなら出せばいいじゃん」というものではなくて、出しどころを間違えると市場に影響を与えかねないから、慎重になっているっぽい。制度としての“重さ”みたいなものを感じる。

いまの米高騰に、備蓄米は効くのか?

供給は足りている? 作況指数から見る実態

調べてみた感じ、今の日本は「米不足」というわけではないらしい。作況指数は平年並みで、絶対的な量は足りているらしい。(いや、作況指数では測れないんだよ!って話もあるらしいけど。)

じゃあなんで高いのかというと、いろいろなコストが上がってるから、という話のようだ。肥料、燃料、人件費、物流費、円安……たしかに、全部思い当たる。米が高いというより、米ができて届けられるまでの仕組みが高くなっている、ということかもしれない。

価格を押し下げる効果はある? でもそれだけじゃ…

備蓄米を放出すれば価格は下がる、という意見もよく見るけれど、実際のところ、その効果は一時的だったり、限定的だったりする可能性もあるそうです。むしろ下手に放出して価格が崩れると、農家の収入に影響が出る。結果として米作りから撤退する人が増えると、かえって供給が減ってしまうという逆効果になることもあるらしい。これはちょっと怖い。

「農協が出すな」は陰謀? 立場の違いかも

一部では「農協が出すなって圧力かけてるんでしょ」みたいな話も見るけれど、それが事実かどうかはよくわからない。ただ、市場価格を安定させたいという方向性は、農家サイドからすればごく自然な話にも思える。陰謀というよりは、立場上そうなるよね、くらいの感覚で受け止めている。

じゃあ農家は儲かってるのか?

コストも上がってるから、単純じゃない

今回の価格上昇が農家にとってプラスかというと、それも一概には言えないようで。売値が上がっても、コストも上がっているから、手取りが劇的に増えてるわけでもなさそう。それに、高齢化や人手不足で「作りたくても作れない」という農家も多いと聞く。数年かけて減らしてきた水田を、すぐに戻すのは現実的じゃない。

農家の収益から見る“適正価格”とは?

では、そもそもお米の価格って、どれくらいが“ちょうどいい”んだろう。これも少し調べてみたけれど、農家さんの収益をベースに逆算すると、だいたい60kgあたり1万4,000円〜1万6,000円くらいが採算ラインらしい。

2022年頃までは、主食用米の取引価格が1万2,000円台まで下がっていた時期もあったそうで、それだとコストを引いたら手元にほとんど残らない。最近ようやく1万4,000円台に戻ってきた、という話も見かけた。価格が戻ったというより、ようやく“最低限”のラインに立った、という感覚に近いのかもしれない。

ちなみにこの「1万4,000円」前後というのは、あくまで平均的な話であって、地域や品種、販売ルートによってもだいぶ違う。特Aランクのブランド米を直接販売している農家さんと、業務用米を農協経由で出している農家さんでは、だいぶ事情も異なる。だからこそ、一律に「価格が上がったから良かったね」とも言えない難しさがある。

なぜ今さら「輸出」? 過去と今のズレ

最近は「米の輸出をもっとやろう」という話もあるけれど、昔は米が余っていて、その調整のために減反をしていたわけで、輸出の発想自体があまり育たなかったのも背景にあるらしい。たしかに今さら「どんどん海外に売っていこう」と言われても、体制的にも体力的にも難しいところは多いんじゃないかなと思う。

制度はある。でも、話は単純じゃない

もっと早くから輸出や大規模化に取り組んでいれば、未来は違ったのかもしれない。でも現実には、農家の高齢化、離農、担い手不足が進んでいて、戻すには時間も人手もかかる。そんな中で「とりあえず備蓄米出して解決」って言われると、ちょっと酷な気もしてくる。

調べてみると、備蓄米の制度はけっこうしっかりしていて、何かあったときには機能するように設計されている。でも、今起きている価格高騰は、もっと根っこの深い話に見える。構造的なコスト上昇や、政策の転換の難しさが絡み合っていて、すぐに答えが出る話でもなさそう。

なので、「備蓄米を出すべきか?」というより、「今の米の価格って、どうしてこうなってるんだっけ?」という問いのほうが大事なんじゃないかと思う。

そして、どうにか近いうちに、ちょうどいい価格でおいしいお米が買えるといいなあと、静かに願っています。

補足

備蓄米とは?

備蓄米(びちくまい)とは、災害や不作などによる米の供給不足に備えて、国や地方自治体が一定量を保管しておくお米のことです。主に政府が「主要食糧備蓄制度」に基づいて管理しており、価格の安定や緊急時の対応を目的としています。市販されることは少ないですが、価格高騰時に一部が市場に放出される場合もあります。

作況指数とは?

作況指数(さっきょうしすう)は、その年のお米の作柄を表す指標です。「平年並み」を100として、豊作なら100以上、不作なら100未満になります。ただし、この数字は主に田んぼでの収穫量を基にしたもので、実際の流通量とは一致しないこともあります。たとえば災害による輸送の遅れや、生産地の偏りなどが影響することがあります。

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農協とは?

農協(のうきょう)は、「農業協同組合」の略で、農家同士が協力して活動するための組織です。農産物の出荷・販売、資材の共同購入、貯金や保険などの金融サービスも手がけています。お米に関しては、価格調整や出荷時期の管理など、市場への影響力も大きい存在とされています。その一方で、近年は改革や見直しの議論も進んでいます。

減反政策とは?

減反(げんたん)政策は、米の過剰生産を防ぐために、農家に対して田んぼの一部で米を作らないよう促す国の政策でした。1960年代後半に始まり、長年にわたり米の価格維持に役立ちましたが、消費の減少や自由化の流れを受けて、近年は段階的に縮小・廃止されています。今でもその影響が、農業現場や価格動向に色濃く残っています。

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