職場に眠るアンタッチャブルな「時限爆弾」― 4ヵ年計画で解体する方法
職場の時限爆弾を処理する手順
―「一見簡単そうな課題」に、万が一関わることになってしまったら
「一見簡単そうに見えるけど、誰も手を出さない仕事」って、職場にありませんか?
前回の記事では、それを“近づいてはいけない地雷”として紹介しました。「これなら自分にもできそう」と安易に手を出してしまい、痛い目を見るというパターンは、至る所で繰り返されているように思います。
ただし、現実の職場では、そうした“誰もやらない課題”に「やるしかない」と追い込まれるケースも、少なくありません。逃げきれない。そんなときに、どうするか。
今回はそのフォローアップ記事として、「時限爆弾」になった業務の処理手順について、自分なりのやり方をまとめておきたいと思います。
キーワードは、あの山本五十六の名言です。
やってみせ
言って聞かせて
させてみせ
ほめてやらねば人は動かじ
この言葉をベースに、「やったほうがいいけど、誰もやってないこと」に4年かけて挑むアプローチを紹介します。
やってみせ(1年目)
最初の1年目は、とにかく自分ひとりでやることがポイントです。
この時点で、社内の有識者をメンバーに加えたり、相談したりしてはいけません。なぜなら、「その人たちの中に問題の根源が潜んでいる可能性が高い」からです。
無駄に正論を言われて自信を削がれたり、遠回りなやり方を押し付けられたり、逆に「そんなことよりこれをやれ」と脱線させられたりすることもあります。
不格好でもいい。非効率でもいい。結果が60点でもいい。
「初心者の自分でも、やってやれなくはなかった」と示すだけで、この1年の価値はあります。
このフェーズは、“事実を作る年”だと思っています。
言って聞かせて(2年目)
2年目からは、信頼できる1~2人を巻き込みます。
1年目の実践で得た知見をもとに、ブラッシュアップしていく年です。
やり方を伝えながら、一緒にやってみせる。
「このやり方なら、ちゃんと回るでしょ?」と示しながら、精度と完成度を上げていく。
目標は80点くらい。高望みはしないけれど、見る人が見れば「うん、これはよくできてる」と思えるレベルに。
もちろん、教える相手も“外野”ではなく、未来の担い手候補であることが望ましいです。
させてみせ(3年目)
3年目になると、自分は一歩下がって“ご意見番”のポジションに。
ここからは、自分が1~2年かけて築いた「高級プロトタイプ」を、量産型の仕組みに変換していくフェーズです。
多少の完成度の低下は許容して、誰でもできるように汎用化、簡略化を進める。
「70点でも5倍効率的にできるならOK」くらいの割り切りが大事です。
特定の人しかできない仕事では、後が続かない。
誰がやっても再現できる“ふつうの仕事”に仕上げることが、この年の目標です。
ほめてやらねば人は動かじ(4年目)
そして4年目は、完全に任せる年。
1~2年目からのメンバーが抜け、新しい人たちが主役になってきます。
そんな“いまやっている人たち”に対して、「がんばってるね」「助かってるよ」「自分のときより上手いんじゃない?」と、適度にほめて支えることが大切です。
大げさに褒める必要はないけれど、たとえその取り組みが100点じゃなくても、「これはすでに普通の業務ですよね?」という空気に育てておくと、取り組みが継続しやすくなります。
「抵抗勢力」が、味方に変わる日?
面白いのは、この4年目に入るころになると、かつて反対していた人たちが、こんなことを言い出します。
「これはもう必要不可欠な仕事だよね」
「やめるのはちょっと…それは困るよ」
あれだけ「意味があるのか?」「成果が見えにくい」と言っていた人が、“やめるな派”に転じていたりします。
人は変化を嫌います。けれど、4年も続ければ「やっているのが平常状態」になります。すると今度は、「やめること」に抵抗するようになるわけです。
まぁ、そういう人は、今度は「まだ改善の余地がある」「完璧ではない」などと、100点じゃない理由を見つけて小言を言い始めたりもしますが…。
時限爆弾に挑む、すべての勇者へ
誰も触れたがらない案件。
一見すると簡単そうなのに、実は誰も解決できてこなかったこと。
放置され続けて、いつしか「時限爆弾」になってしまったもの。
そうした課題に対して、真正面から向き合うのは、簡単なことではありません。
だからこそ、やる価値がある。
そして、その解体作業にあえて挑んだ人には、心からの賞賛を。
……とはいえ、本来は爆弾になる前に処理すべきなんですけどね。


