アゲハの幼虫、今年は蛹まで見届けた
敵だったけど、嬉しくもある
種から育てたスダチ。
まだ木は小さいけれど、いつか花が咲き、実をつけてくれる日を心待ちにしている。
そんなスダチにとって、アゲハ蝶ははっきり言って天敵だ。
葉を食い尽くす幼虫たちは、どう見ても害虫。
本来なら「悪・即・断」で臨むべき相手である。
……でも。
毎年、気がつくと若葉に卵がついていて、気がつくと緑色のぷりぷりした幼虫になっていて、
そのまま葉をムシャムシャと食べながら、どんどん大きくなっていく。
そして、いつもは、途中で見かけなくなる。
鳥にやられたのか、どこかでひっそり蛹になっているのか、それもわからない。
けれど今年、“その後”を見つけた。
ブルーベリーの枝に、そっと
ふと隣のブルーベリーの枝先を見たら、いた。
あのぷりぷり幼虫の成れの果て──小さな蛹が、静かにぶら下がっていた。

アゲハ蝶の一生をざっくりまとめると、こんな感じらしい:
- 卵(3〜5日)
- 幼虫(およそ2週間)
- 蛹(10日〜2週間)
つまりあの若葉に産み落とされてから、ここまででおよそ1ヶ月。
スダチを食い荒らし、憎らしいと思っていたあの幼虫も、
こうして時間をかけて、自分のタイミングで旅立ちの準備をしていたのだ。
また来るなよ、と思いつつ
スダチを守る者としては、できれば二度と来てほしくない。
来年こそは花を咲かせ、実をつけてほしいのだ。
でも、ほんの短い“腐れ縁”のようなこの関係も、そろそろ終わりが近い。
蛹はきっと、数日中に羽化して、大空へ飛び立っていくだろう。
スダチの敵であることに変わりはないけれど、
こうしてちゃんと羽ばたいていく姿を思うと、やっぱりちょっと嬉しい。
どうか健やかに旅立ってくれ。
そして──頼むから、もう戻ってくるなよ。
補足
悪即断とは?
「悪・即・断(あく・そく・だん)」とは、漫画『るろうに剣心』に登場するキャラクター・斎藤一の信念として知られる言葉です。「悪」と見なした存在に対しては、即座に「断罪」するという、冷徹かつ徹底した正義感を表現しています。現実の倫理や法律とは別に、自らの基準で善悪を判断し、行動に移す姿勢から、しばしば極端な正義観を象徴する言葉として引用されます。
害虫とは?(アゲハ蝶の場合)
「害虫」とは、人間の生活や農作物に悪影響を与える虫を指す言葉です。アゲハ蝶の場合、成虫は美しい昆虫として人気ですが、幼虫はミカンやスダチなどの柑橘系植物の葉を食べるため、園芸や農業においては「害虫」として扱われます。ただし、自然界では重要な生態系の一員であり、完全に排除すべき存在とも言い切れません。その評価は立場や文脈によって変わる面があります。


